ネパールで発生した大規模災害について

8月26日、ネパール北部で大規模な洪水・土石流災害が発生しました。
被害に遭われた多くの方々に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。そして今なお安否の分からない方々が、一人でも多く無事に家族のもとへ戻られることを願っています。
被害を受けたシャブルベンシ、トリスリバザール、ラスワガッディ周辺は、私にとってニュースの中だけの地名ではありません。
ランタンの山々へ向かうとき、そしてネパールからチベットへ向かうとき、これまで何度も通ってきた場所です。
そこには一緒に仕事をしてきた仲間がいて、シェルパやスタッフの家族がいて、私たち登山者や旅人を迎えてくれた多くの人々の暮らしがあります。
災害発生後、私もネパールの現地会社の代表やスタッフ、知り合いのシェルパたちと直接連絡を取りました。
幸い、私たちの身近な仲間とその家族、知人たちの無事を確認することができました。
しかし、ネパールでは今も多くの方々が大変な状況の中にいます。
現地の私たちのパートナーたちも、自分たち自身が不安な状況にありながら、被災した人々を助けるために寄付をはじめとする支援活動に動いています。
そんな彼らと話しながら、私自身、改めて考えました。
私たちにできる支援とは何だろう。
もちろん、寄付をすることも大切です。 困っている人たちに直接手を差し伸べることも大切です。
そしてもう一つ。
ネパールを訪れ、人々と仕事をし、ホテルに泊まり、車に乗り、シェルパやポーターと山を歩く。
そうやって現地に仕事と収入が生まれる流れを止めないことも、長い目で見れば一つの支援になるのではないかと私は考えています。
災害が起きたからといって、ネパールという国全体から旅行者や登山者がいなくなってしまえば、被災していない地域で暮らす人たちまで仕事を失ってしまいます。
ただ、私たちは「こんな時だからネパールへ行こう」と呼びかけたいわけではありません。
行ける状況にあるのなら、私たちは行く。
そのこともまた、長い間お世話になってきたネパールへの恩返しのひとつだと考えています。
もちろん、決して無理をするという意味ではありません。
道路、天候、山の状態、現地からの情報を常に確認し、危険があると判断すれば、計画の変更や中止をためらうことはありません。
来週出発を予定しているマナスル登山隊についても、現地スタッフと連絡を取りながら、最新の状況を確認したうえで準備を進めています。
今回大きな被害を受けたランタン、シャブルベンシ方面と、私たちが向かうマナスル山域は、地理的にも離れた別の谷・水系にあります。
また今回の登山隊は、カトマンズから陸路で移動するのではなく、ヘリコプターで直接マナスル山麓のサマガオン村へ入る計画です。
もちろん、それをもって「絶対に安全」と考えているわけではありません。
現地の天候や山の状態、ヘリの運航状況などを出発直前まで確認し、状況に変化があれば計画を変更することも含め、安全を最優先に判断していきます。
私は長い間、ネパールの山々に登らせてもらってきました。
でも振り返ってみれば、山だけではありません。
シェルパ、ポーター、スタッフ、ホテルの人、村の人たち。
笑顔で「ナマステ」と迎えてくれる、たくさんの人たちに支えられて、私はネパールの山に登ってきました。
私は「なぜ山に登るのですか?」と聞かれたとき、ずっと、
「そこに人がいるから」
と答えてきました。
今も、その気持ちは変わりません。
だからこそ、こんな時にもネパールの人たちとのつながりを大切にしたい。
安全を見極めながら、行ける場所には行き、会える人には会い、これまでと同じように一緒に山を歩きたいと思っています。
被災された地域の一日も早い復旧と、ネパールの人々の日常が少しでも早く戻ることを、心から願っています。
そして私たちも、自分たちにできる形で、これからもネパールと共に歩んでいきたいと思います。

株式会社アドベンチャーガイズ
代表取締役 近藤謙司